プレスリリース 2020年
Beyond 5G/6Gに向けたテラヘルツ無線通信用の
超小型アンテナの開発に成功
~ソフトバンク、岐阜大学および情報通信研究機構が、
超高速無線通信などの実用化に向けて研究開発~
2020年6月18日
ソフトバンク株式会社
国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学
国立研究開発法人情報通信研究機構
ソフトバンク株式会社、国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学、国立研究開発法人情報通信研究機構、National Research Tomsk State UniversityおよびTomsk Polytechnic Universityの研究グループ(以下「本研究グループ」)は、Beyond 5G/6G※1時代を見据え、300GHz帯テラヘルツ無線(以下「テラヘルツ無線」)で動作する超小型アンテナの開発に成功しましたのでお知らせします。
近年、無線通信の高速化・大容量化の要求によって、100Gbps以上の伝送速度を実現するBeyond 5G/6G技術に関する研究開発が世界的に開始されつつあります。テラヘルツ無線は、5Gで利用されるミリ波帯と比べて、より広い周波数帯域が利用可能なため、超高速無線システムの候補として期待されています。一方で、テラヘルツ無線の周波数は伝搬損失が大きく、実用化するには利得※2の高いアンテナの開発が必須となります。アンテナの寸法を大きくすることで利得は向上しますが、スマートフォンなどへの実装を考えると、小型で利得の高いアンテナの開発が必要不可欠であり、サイズと利得の両立が課題とされていました。
このたび本研究グループは、無線信号波長(約1mm)と同程度の大きさの直方体型誘電材料を使用することで発生するフォトニックジェット効果※3に着目して、小型アンテナの開発に応用しました。開発したアンテナは、利得を約15dBi(シミュレーション値)と大きく保ったまま、無線信号波長と同程度の1.36mm×1.36mm×1.72mmというサイズ(開口面積:1.8mm²)を実現しました。アンテナの開発に加えて、現在開発が進められているテラヘルツ無線に対応するトランシーバーの出力パワーと受信感度の性能が向上することで、テラヘルツ無線通信技術の実用可能性が広がります。
今後は、テラヘルツ無線伝送システムに超小型アンテナを適用して、無線送受信機の実現可能性を調査します。無線信号波長と同サイズの小型化アンテナの実現によって、テラヘルツ無線で動作する集積回路への実装を可能にし、Beyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に貢献することが期待されます。
今回の研究成果は、2020年6月1日から30日までオンラインで開催される国際会議「EuCAP2020 (14th European Conference on Antennas and Propagation)」において、「“High-gain and Low-profile Dielectric Cuboid Antenna at J-band,” Y. Samura, K. Yamada, O. V. Minin, A. Kanno, N. Sekine, J. Nakajima, I. V. Minin, and S. Hisatake(Jバンドにおける高利得小型誘電体キューブアンテナ)」の名称で採択されました。
今後もBeyond 5G/6G時代の超高速無線通信などの実用化に向けた研究開発を加速し、通信事業の発展に貢献していきます。
今回の研究成果の詳細は、別紙をご覧ください。
- [注]
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- ※1第5世代移動通信システム(5G)の次の無線アクセスシステムを指す。5Gの特長(超高速、超低遅延、多数同時接続)のさらなる高度化に加えて、高信頼化やエネルギー効率の向上など新たな技術革新が期待されています。
- ※2アンテナに入力された電力に対して、アンテナ正面方向にどの程度の電力を出力できるのかを数値化したもの。利得が高ければ、より指向性が強い電波を放射することが可能になります。
- ※3波長オーダーの誘電体構造に電磁波を照射することで、誘電体の後ろに発生する現象のこと。透過発生したフォトニックジェットを測定して、アンテナ本体の性能を明らかにしました。
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