プレスリリース 2023年

ソフトバンクと住友電工、5Gを活用したスマート工場の
実現に向けて協業を開始

~「プライベート5G」や産業用5G端末、AIによる映像圧縮・解析などの活用で、
工場の生産性向上の実現へ~

2023年3月29日
ソフトバンク株式会社
住友電気工業株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川 潤一、以下「ソフトバンク」)と住友電気工業株式会社(本社:大阪市中央区、社長:井上 治、以下「住友電工」)は、5G(第5世代移動通信システム)を活用したスマート工場の実現に向けて協業を開始します。

この協業により、ソフトバンクが2023年3月29日に提供を開始した法人向けの5Gマネージドサービス「プライベート5G」の対応端末として、住友電工が開発中の産業用5G端末を、2024年をめどに提供する予定です。また、産業用5G端末に加えて、住友電工の独自技術である、AI(人工知能)による映像圧縮・解析ソリューションなどを活用して生産現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることで、住友電工グループをはじめとする工場の生産性向上に向けた取り組みを推進していきます。

ソフトバンクの「プライベート5G」について

ソフトバンクが提供する「プライベート5G」は、企業や自治体などのさまざまなニーズに合わせて、個別にカスタマイズした5Gネットワークを提供するサービスです。まず、パブリック5Gの設備や電波を利用する「プライベート5G(共有型)」を提供します。「プライベート5G(共有型)」は、5G SA※1の特長であるネットワークスライシング※2を活用し、お客さまの用途に応じて最適なネットワークのリソースを割り振るとともに、ソフトバンクが提供する閉域接続サービスと連携することで、高品質かつ安全な通信を実現します。なお、ソフトバンクは、お客さまの敷地内に専用の基地局や設備を設置して、高度なプライベートネットワーク環境を提供する「プライベート5G(専有型)」を、2023年度中に提供開始予定です。

「プライベート5G」の詳細は、こちらのプレスリリースをご覧ください。

住友電工製の産業用5G端末について

住友電工製の産業用5G端末は、工場内のさまざまなセンサーや設備、カメラとの接続インターフェースを備え、5Gミリ波にも対応しています。防じん・防水機能を有し、環境条件の厳しい工場や屋外でも使用可能です。また、エッジ処理のためにコンテナ型仮想化※3のプラットフォームを採用しており、5G端末とは異なるOS(オペレーティングシステム)上で開発したアプリであっても容易に搭載・実行が可能です。なお、住友電工製の産業用5G端末は、ソフトバンクの「プライベート5G」向けが初の商用提供となります。

産業用5G端末の外観
産業用5G端末の外観

実証実験の取り組みと今後の展開

ソフトバンクと住友電工は、5Gを活用したスマート工場の実現に向けた共同の実証実験を、2019年から継続して実施してきました※4。2022年には、工場内に設置した4Kカメラで作業者の動きなどを撮影し、その高精細な映像を住友電工独自の映像圧縮技術であるAVP(AI-based Video Processing)※5によって圧縮した後、ソフトバンクの5Gネットワークを利用してクラウドサーバーに伝送し、AIによる映像解析を行う実証実験を実施しました。その結果、AVPの活用により、従来の圧縮方式と比較してデータ量を88%削減し、効率的に映像を伝送できました。また、従来は遠方に小さく映る作業者を検出できないといった課題がありましたが、高精細な4Kカメラの映像を活用することで、AIによる映像解析の精度が上がり、映像内の作業者の検出率が89%から100%に向上しました。

さらに、実証した技術を用いることで、計画よりも時間がかかっている作業を速やかに特定して対策を講じ、生産性の向上につなげることができました。また、作業者やその動線を監視し、危険な行動の検知に応用することで、安全性の向上も期待できます。今後も住友電工は、実証した技術の生産現場への適用を推進していきます。

実証実験の詳細は、こちらをご覧ください。

[注]
  1. ※1
    5G SA
    スタンドアローン(Stand Alone)方式の5Gの商用ネットワークのこと。
  2. ※2
    ネットワークスライシング
    ネットワークを仮想化してリソースを分割し、用途や目的(高速大容量、低遅延など)に適合したサービスを提供する技術のこと。
  3. ※3
    コンテナ型仮想化
    一つのOS上にコンテナと呼ばれる複数の独立空間を形成し、そこでそれぞれアプリケーションを動かすことができるようにする技術のこと。
  4. ※4
    これまでの実証実験については、下記のプレスリリースをご覧ください。
  5. ※5
    AVP
    注目領域を軽量化したAIを用いて抽出し、注目領域以外を高圧縮する(低画質にする)ことにより、映像全体のデータ量を低減します。AVPの特長は以下の三つです。
    1. 1.
      全画面を均一に高画質に圧縮する場合と比較して、データ量を約90%削減します。また、クラウドサーバーにある映像解析AIの作業者検出性能に影響を与えません。
    2. 2.
      注目領域の座標情報を圧縮映像に付加するため、映像解析AIは注目領域だけを対象として処理することにより、負荷を低減できます。
    3. 3.
      標準的な映像圧縮規格(H.264など)を使用できるため、特別な映像再生手段を必要としません。
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。