プレスリリース 2026年
世界初、通信事業者におけるTSN over 5Gの
接続実証に成功し、産業分野への5G展開を加速
~5G上で誤差平均122nsの高精度な時刻同期とCC-Link IE TSN Class Bの動作を確認~
2026年2月24日
ソフトバンク株式会社
株式会社村田製作所
一般社団法人CC-Link協会
ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)と株式会社村田製作所(本社:京都府長岡京市、代表取締役社長:中島規巨、以下「村田製作所」)、一般社団法人CC-Link協会(本部:名古屋市北区、事務局長:濱口学、以下「CLPA」)は、高精度な時刻同期を可能にするTime-Sensitive Networking(TSN)を5G(第5世代移動通信システム)ネットワーク上で実現する技術である、TSN over 5G※1の接続実証に成功しました。通信事業者がTSN over 5Gの実証に成功したのは、世界で初めて※2です。
ラボ環境で実施した今回の実証では、3GPPで定義されている誤差900ns(ナノ秒、1ns=10億分の1秒)以下の要求水準※3に対し、誤差平均122nsという高精度な時刻同期を5Gネットワーク上で達成しました。また、CLPAが認証する産業用イーサネット規格「CC-Link IE TSN」のClass Bの仕様に準拠した産業用機器が、5Gネットワーク上で動作することを確認しました。
この成果は、これまで有線ネットワークが前提とされてきた産業用機器の制御において、5Gを用いた無線化の実現に向けた重要な一歩となります。
- [注]
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- ※1TSN(Time-Sensitive Networking)は、IEEEで標準化された、イーサネット上でリアルタイム性を要する通信を実現するための一連の通信規格です。ジッター(通信の遅延のばらつき)を低減することで、複数の機器間の高精度な時刻同期を可能にします。TSN over 5Gは、3GPP(3rd Generation Partnership Project)Rel.16で標準化された、TSNの機能を5Gネットワーク上で実現する技術です。
- ※22026年1月29日時点(ソフトバンク調べ)
- ※33GPP TS22.832「Study on enhancements for cyber-physical control applications in vertical domains; Stage 1」
- ※1
実証の背景
工場などの製造現場では、高精度な時刻同期によって複数の機器を正確なタイミングで動作させることが不可欠です。CLPAが認証を行うCC-Link IE TSNにおいても、Class Bは高精度な時刻同期による高いリアルタイム性と、ジッター(通信の遅延のばらつき)の低減による確定性が求められることから、有線ネットワークを前提とした運用が行われています。
一方で、設備の柔軟なレイアウト変更や保守性の向上といった観点から、産業用ネットワークの無線化への期待は年々高まっています。こうした中、3GPP Rel.16において、高精度な時刻同期を実現するTSNを5Gネットワーク上で実現するための仕様として、TSN over 5Gが標準化されました。これにより、有線ネットワークに近いリアルタイム性と確定性を備えた産業用5Gネットワークの構築が期待されています。
こうした背景を踏まえ、ソフトバンクと村田製作所、CLPAは、産業用ネットワークの無線化に向けて、このたびTSN over 5Gの実証を実施しました。
実証の概要
今回の実証では、プライベート5G(スタンドアローン構成)を用いて、ラボ内にTSN over 5G環境を構築しました。TSN over 5Gで用いられる時刻同期プロトコルであるgPTP(generalized Precision Time Protocol)に基づき、DS-TT(Device-Side TSN Translator)と接続する端末側と、NW-TT(Network-Side TSN Translator)と接続するネットワーク側の機器の間で時刻差を計測しました。その結果、誤差平均122nsという高い精度で時刻同期が実現できることを確認しました。
また、工場内の設備を想定して、実際の産業用機器を用いたエンド・ツー・エンドの制御環境の検証を実施しました。CC-Link IE TSNに対応した入出力制御用ユニット(リモートI/Oユニット)とPLC(制御装置)を5Gネットワーク経由で接続し、PLCからの制御信号がスイッチや表示灯(LED)などの入出力機器へリアルタイムに伝送される構成としています。この検証環境において、機器の制御に求められるCC-Link IE TSNのClass Bの仕様に基づき、1μs(マイクロ秒、1µs=100万分の1秒)以下の精度での時刻同期を保ちつつ、6時間超の連続通信に成功しました。
今回の実証において、TSN over 5Gにより、3GPPの要求水準を満たす高精度な時刻同期と、CC-Link IE TSNのClass Bの要求水準を満たす機器の制御が可能なことを確認しました。これは、有線による制御を前提としてきた産業用ネットワークの、無線化に向けた重要な成果となります。
なお、今回の実証の成果は、「MWC Barcelona 2026」のMurata Electronics Europe B.V.のブースで展示予定です。
各者の役割
ソフトバンク:TSN over 5G対応環境の提供(gNB、UE、UPFなど)
村田製作所:DS-TTおよびNW-TTの提供
CLPA:産業用機器の提供、通信内容および産業用機器の動作確認
今後の展望
今回の成果は、産業用ネットワークの無線化にとどまらず、AI(人工知能)がロボットや設備と連携し、正確なタイミングで制御することが可能になるため、フィジカルAI※4の実現に向けた基盤技術としても重要な意味を持ちます。フィジカルAIの実現には、高いリアルタイム性と確定性を備えた通信基盤が不可欠であり、TSN over 5Gはその中核を担う技術として期待されます。ソフトバンクと村田製作所、CLPAは今後、今回の実証で得られた知見を生かし、5Gを活用した新たな産業用途の創出やフィジカルAIの社会実装に向けた取り組みを進めていきます。
- [注]
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- ※4フィジカルAIとは、ロボットのセンサーやカメラ、外部のシステムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが柔軟で複雑な動きを行えるようにする技術のこと。
- ※4
今回の実証に関する各者のコメント
ソフトバンクの執行役員 兼 先端技術研究所 所長の湧川隆次は、次のように述べています。
「今回の実証は、これまで有線ネットワークが前提とされてきた産業用機器の制御領域において、5Gの活用の可能性を広げる重要な成果です。ソフトバンクは今後も先端技術の検証と社会実装を通して、産業分野の高度化やフィジカルAIの実現を支える通信基盤の確立に取り組んでいきます」
村田製作所の執行役員の川島誠は、次のように述べています。
「今回の実証は、村田製作所がこれまで培ってきた通信領域の知見を生かし、ソフトウエア技術でTSNに貢献するチャレンジングな取り組みでした。このたび、ソフトバンクおよびCLPAとの協働により、成果が確認できたことに感謝します。村田製作所は高精度な時刻同期がインフラとして普及し、あらゆる機械・機器が協調的に動作する未来社会の実現に向けて、これからも挑戦していきます」
CLPA 事務局長の濱口学は、次のように述べています。
「CC-Link IE TSNとTSN over 5Gの連携により、製造業、物流業、農業などの各業界に大きな付加価値を提供できると考えており、早期の商用化に大きな期待を寄せています」
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- ソフトバンク 先端技術研究所について
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