プレスリリース 2026年

ソフトバンクとエリクソン、
AI-RANを活用した低遅延・高信頼ネットワークによる
フィジカルAIの実証に成功

~AI処理の動的なオフロードと通信ネットワークの最適化により、安定したフィジカルAIを実現~

2026年2月27日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)は、エリクソン(NASDAQ:ERIC)と共同で、AI-RANを活用した低遅延で高信頼な通信ネットワークによるフィジカルAI※1の実証実験に成功しましたのでお知らせします。

この実証実験では、ソフトバンクが開発中のAI-RANのMEC(Multi-access Edge Computing)基盤を活用したリアルタイム処理技術と、エリクソンのネットワーク機能を活用した5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを組み合わせることで、ロボットとネットワーク、計算資源を一体的に連携させた、低遅延で高信頼な制御を実現しました。

これにより、ロボットの動作状況や求められる処理内容に応じて、ロボット単体で実行していたAI(人工知能)処理をMEC基盤へ動的にオフロードさせるとともに、ネットワークスライシングや優先制御を含むエリクソンの差別化された接続(Differentiated Connectivity)※2によってネットワークの最適化が可能になり、安定したフィジカルAIが実現できることを確認しました。

[注]
  1. ※1
    フィジカルAIとは、ロボットのセンサーやカメラ、外部のシステムから得た情報をAIが解析・判断し、その結果に基づいてロボットが柔軟で複雑な動きができるようにする技術のこと。
  2. ※2
    差別化された接続とは、ネットワークスライシングなどの機能により、5G SAコアおよび5G RANソフトウエアを通して、帯域幅や遅延などの通信性能を安定的に確保する機能のこと。

フィジカルAIの実装に向けた背景と通信ネットワークの課題

近年、ロボットが周囲の状況を的確に捉え、柔軟に判断・動作を実現するフィジカルAIへの注目が高まっています。しかし、ロボットの柔軟な判断・動作に必要なAIの処理内容や計算量は状況によって大きく変化するため、高度な判断が求められる場面では、ロボットに搭載された計算資源だけでは十分に対応できない場合があります。

こうした中、ソフトバンクとエリクソンは、AI-RANに関する共同研究開発の一環でフィジカルAIのユースケースの検証を進めており、両社の技術を活用してロボットを外部の計算資源と連携させることで、より柔軟で高度な判断・動作の実現を目指しています。

ネットワークを経由して外部の計算資源にAI処理をオフロードする場合には、低遅延で高信頼な通信の確保に加え、ロボットとネットワーク、計算資源を一体的かつ動的に制御することが重要です。しかし、従来のネットワークでは、AI処理とRAN(無線アクセスネットワーク)の制御が分離して設計されているため、外部の計算資源の活用を前提とした柔軟な制御が難しく、フィジカルAIの実装における課題となっていました。

実証実験の概要

ソフトバンクとエリクソンは、こうした課題の解決に向けて、ソフトバンクのAI-RANのMEC基盤を活用したリアルタイム処理技術と、エリクソンのネットワーク機能を活用した5Gネットワークを組み合わせることで、ロボットとネットワーク、外部の計算資源を一体的に連携・制御できる、AI処理のオフロード基盤を構築しました。このオフロード基盤は、AI処理をロボット単体で実行するか、外部の計算資源であるMEC基盤上で実行するかを状況に応じて動的に切り替える仕組みにより、ロボットの最適な制御を行えます。また、アプリケーションごとに求められる遅延やスループット、信頼性などの多様な要件に基づいて、ネットワークスライシングや優先制御などの差別化された接続を実現することでネットワークを最適化し、低遅延で高信頼な制御が可能です。これにより、軽量なAI処理や判断をロボット単体で行いながら、高度な判断が必要な場合にはAI処理をMEC基盤へオフロードさせることで、ロボットがより柔軟で高度な判断・動作をできることを確認しました。

今回構築したシステムは、状況に応じて自動的に最適なAI処理パターンへ切り替え可能なため、下記のような安定したフィジカルAIの運用を実現できます。

  • フィジカルAIを実現するための計算資源の動的制御および最適化

    ロボットの動作状況や処理負荷、意思決定タスクの複雑さに応じてAI処理をMEC基盤へ動的にオフロードすることで、フィジカルAIアプリケーションの効率的な運用を可能にします。これにより、ロボットは必要に応じて拡張性のある計算資源を活用でき、より柔軟な動作やタスク実行の高度化、バッテリー使用の最適化を実現するとともに、デバイス上の計算負荷を低減できます。

  • 差別化された接続による低遅延・高信頼な接続性

    ロボットの制御やAI処理のオフロードに必要なネットワークは、ネットワークスライシングや優先制御などの差別化された接続を用いて動的に最適化されます。これにより、AI処理や制御信号に対して、低遅延で信頼性の高い適切なネットワークを提供できます。

実証実験の概要

今後の展望

今回の実証実験により、製造や物流、インフラ保守などの現場におけるフィジカルAIの実装に必要となるネットワークの在り方を明らかにすることができました。ソフトバンクとエリクソンは、この実証実験などを通して得られた知見を基に、フィジカルAI時代に求められる次世代ネットワークの実現を目指します。

ソフトバンクの執行役員 兼 先端技術研究所 所長の湧川隆次は、次のように述べています。
「ソフトバンクは、社会課題の解決に向けて通信インフラの役割そのものを進化させるAI-RANの技術や、MEC基盤を活用したリアルタイム処理技術の開発を進めてきました。今回構築したAI処理を動的にオフロードさせる仕組みと、低遅延かつ高信頼なネットワークのさらなる高度化を進めることで、より柔軟で高度な判断が可能なフィジカルAIの実現を目指します」

エリクソン・ジャパン株式会社の代表取締役社長のジャワッド・マンスール氏は、次のように述べています。
「ロボティクスのようなフィジカルAIアプリケーションには、変化する計算および接続の要求にリアルタイムで適応できるネットワークが求められます。ソフトバンクの技術とエリクソンの差別化された接続の活用により、AI処理をエッジインフラ全体にわたって動的にオフロードさせることで、支えることが可能なことを実証しました。これにより、エリクソンのネットワークに期待される性能と信頼性を維持しながら、新たなフィジカルAIサービスの創出を可能にします」

  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
ソフトバンク 先端技術研究所について

ソフトバンク 先端技術研究所は「テクノロジーの社会実装」を使命に、次世代社会インフラを支える技術のAI-RANやBeyond 5G/6Gをはじめ、通信、AI、コンピューティング、量子技術、宇宙・エネルギー分野など、さまざまな先端技術の研究開発と事業創出を推進しています。国内外の大学・研究機関との産学連携や、パートナー企業との国際的な協業を通して、グローバルなビジネスの創出と、持続可能な社会の創造に貢献していきます。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。