プレスリリース 2026年

6Gに向けて基地局アンテナの簡素化・省電力化技術を開発

~AGCと「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を開発、屋外実証に成功~

2026年3月19日
ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、6G(第6世代移動通信システム)時代を見据えて、簡素化・省電力化に対応した新たな構成の基地局アンテナ「機能性ビーム成形レンズアンテナ」をAGC株式会社(以下「AGC」)と共同で開発し、屋外での実証実験に成功しました。「機能性ビーム成形レンズアンテナ」は、ソフトバンクの通信エリア設計技術およびアンテナビーム設計技術と、AGCのメタサーフェスレンズ技術※1を組み合わせて開発したものです。アンテナ構成の簡素化により、消費電力を従来比で最大8分の1に低減※2することが可能です。

また、今回実施した実証実験により、「機能性ビーム成形レンズアンテナ」が従来のMassive MIMOアンテナと同程度の通信エリアと通信品質を維持できることを確認しました。将来的には、このアンテナを活用することで、高周波数帯(6GHz以上)の基地局の設置や運用の負担軽減につながることが期待されます。

6Gに向けて基地局アンテナの簡素化・省電力化技術を開発

開発の背景

AI(人工知能)サービスの普及が進む中で、モバイル通信のトラフィックはさらなる増加が見込まれています。こうした需要に応えるためには、広帯域で高速・大容量な通信を実現する高周波数帯の電波の有効利用が不可欠です。高周波数帯の電波は伝搬損失が大きく、広域なエリアを形成しづらいという特性があるため、特定の方向に指向性を高めることが可能なMassive MIMOアンテナが活用されています。しかし、従来のアンテナ構成ではユーザー(端末)の移動に合わせて水平・垂直の両方向でビームフォーミング※3を行うため、多数の制御用IC(集積回路)が必要となり、消費電力が高いことや、放熱機構(ヒートシンク)などの大型化によって設置や運用の負担が増加するといった課題があります。そこで、ソフトバンクはAGCと共同で、基地局アンテナの簡素化・省電力化を可能にする新たな構成の基地局アンテナ「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を開発しました。

「機能性ビーム成形レンズアンテナ」の構成

今回開発した「機能性ビーム成形レンズアンテナ」は、AGCのメタサーフェスレンズの採用により、垂直方向のビーム成形に必要なアンテナ素子数を従来比で8分の1以下に削減しました。これにより、制御用ICや関連する部材を削減し、消費電力を従来比で最大8分の1に低減※2できるため、ヒートシンクの小型化・軽量化を実現可能です。

また、垂直方向のビームについては、ソフトバンクの通信エリアおよびアンテナビーム設計技術に基づき、基地局と端末間の距離にかかわらず通信品質を一定に保つことができる「コセカント2乗ビーム」特性を採用することで、安定した通信を可能にしています。さらに、水平方向のビームについては、メタサーフェスレンズが水平方向のビームフォーミングを阻害しないよう微細構造の設計を工夫することで、アレーアンテナからの電波放射と動的なビーム制御を維持しています。

「機能性ビーム成形レンズアンテナ」の試作品
「機能性ビーム成形レンズアンテナ」の試作品

実証実験の概要

ソフトバンクは、ミリ波(中心周波数:29.7GHz)を利用して、「機能性ビーム成形レンズアンテナ」の有用性を評価する実証実験を東京都港区で行いました。この実証実験では、基地局を想定した「機能性ビーム成形レンズアンテナ」と、ユーザー(端末)を想定したダイポールアンテナの間の距離を変えて5G信号を伝送しました。SNR(信号対雑音比)を測定して通信エリアの形成を確認するとともに、16QAM※4の受信信号分布により通信品質を評価しました。

この結果、アンテナ間の距離にかかわらず、測定したほぼ全ての場所で15dB以上の安定したSNRが得られることを確認しました。また、受信信号分布も乱れることなく16個の位置を明確に区別できており、通信が安定していることを確認しました。「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を用いることで、従来のMassive MIMOアンテナと同程度の品質で安定した通信エリアを形成できると考えられます。

「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を使用した場合のSNRと受信信号分布
「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を使用した場合のSNRと受信信号分布

測定環境の詳細

基地局側 機能性ビーム成形レンズアンテナ(地上約8mに設置)
ユーザー(端末)側 ダイポールアンテナ(測定台車に搭載)
利用電波 中心周波数:29.7GHz(ミリ波)
帯域幅 100MHz

基地局アンテナの簡素化・省電力化技術と実証実験の詳細は、ソフトバンク 先端技術研究所のブログ記事をご覧ください。

ソフトバンクは、6G時代における持続可能な通信インフラの実現に向けて、「機能性ビーム成形レンズアンテナ」の開発を進め、基地局への適用を目指していきます。

[注]
  1. ※1
    薄い基板上に微細な構造を並べることで、電波の進行方向や広がりを自在に調整できる技術。
  2. ※2
    従来のMassive MIMOアンテナ構成と「機能性ビーム成形レンズアンテナ」を活用した構成において、同一周波数帯かつ同一カバレッジを実現するために必要な制御用ICの数をそれぞれ試算して比較した理論値。
  3. ※3
    アレーアンテナからの電波を合成し、特定の方向に集中させて放射すること。
  4. ※4
    信号の振幅と位相を変化させることで16通りの状態を作り、それぞれにデータを対応させて伝送する方式のこと。
  • SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
  • その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
ソフトバンク 先端技術研究所について

ソフトバンク 先端技術研究所は「テクノロジーの社会実装」を使命に、次世代社会インフラを支える技術のAI-RANやBeyond 5G/6Gをはじめ、通信、AI、コンピューティング、量子技術、宇宙・エネルギー分野など、さまざまな先端技術の研究開発と事業創出を推進しています。国内外の大学・研究機関との産学連携や、パートナー企業との国際的な協業を通して、グローバルなビジネスの創出と、持続可能な社会の創造に貢献していきます。詳細は公式ウェブサイトをご覧ください。