TCFD提言に基づく
情報開示

TCFD

地球温暖化による気候変動リスクの高まりを背景に、気候変動が企業の事業にもたらす財務影響を評価する動きが広まっています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、2015年に金融安定理事会(FSB)により設立された、気候変動が事業に与えるリスクと機会の財務的影響に関する情報開示を企業に推奨する国際的イニシアチブです。

当社は、TCFDが企業に推奨する「ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標」のフレームワークに沿って、事業活動における気候関連のリスクと機会を評価し、積極的な情報開示とその充実に努めることが、企業の持続的な成長のために重要であり、脱炭素社会の実現に向けた企業の責務と考えております。
当社は2020年4月にTCFD提言への賛同を表明いたしました。TCFDの提言に基づき積極的な情報開示とその充実に努めていきます。

ガバナンス

a. 取締役会による監督体制

当社は、持続可能な社会づくりに貢献することを重要な経営課題と捉え、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、マテリアリティの一つとして「テクノロジーや事業を通じた気候変動への貢献」を設定いたしました。このマテリアリティに関する対応の推進のために取締役会の諮問機関としてESG推進委員会を2020年3月に設置しました。代表取締役社長を委員長ならびにESG最高推進責任者とし、取締役会の監督のもと、気候変動関連のリスク・機会に関わる戦略などサステナビリティ活動全体の最終責任を負います。

b. 経営層の役割

ESG推進委員会は委員長である代表取締役のもと取締役および委員長が指定したメンバーにて年4回開催し、事業で使用する電力などによる温室効果ガス排出を2030年度までに実質ゼロにする、カーボンニュートラル2030宣言など重要事項を議論します。なお、カーボンニュートラル達成のための再エネ導入率などは一部役員報酬と連動しています。

また、気候関連リスク等の管理および取り組みの社内推進、業務遂行する機関として、ESG推進担当役員のもと環境委員会を設置しています。環境委員会はCSR本部長を委員長とし当社各事業部および主要な当社グループの環境担当者で構成し、カーボンニュートラル2030達成に向けた具体的な施策を推進します。

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ推進体制

戦略

a. 気候変動に関わる
リスクと機会

気候変動により将来予測される事象に適応する戦略を勘案するために、全社で自然環境に関わる事業リスクを選定し、急速に脱炭素社会が実現する1.5℃シナリオと気候変動対策が進まず温暖化が進行する4℃シナリオの2つのシナリオ分析を実施し、バリューチェーン上流下流を含む事業に与える財務影響が特に大きい2050年までに発生が予見されるリスクを特定しました。さらに、財務影響、消費者目線、公共性目線、人命を総合的に判断する当社基準に基づき評価したリスクの強度に、リスクが顕在化する可能性をかけ合わせることにより、事業リスクの大きさを、発生時期を踏まえて高/中/低で評価しました。その結果、直ちに顕在化する重要な事業リスクはないものの、中期的には通信設備の被災による物理的リスク、情報開示不十分による評判リスク、長期的には資源の枯渇が、財務計画に大きな影響をおよぼす可能性があることを認識しております。以下に評価結果を記載します。

特定したリスクと機会

種別 事業
リスク
特定した
リスク
シナリオ 外部
シナリオ
リスクの
大きさ※1※2
対応策/機会
短期 中期 長期
物理リスク
急性 自然災害激化による、被害拡大 設備の災害対策・復旧コスト増、サービス断長期化による減収 1.5℃
シナリオ
IPCC
SSP
1-1.9
  • 電源強化、発電機・長時間化バッテリー設置
  • アンテナ支持柱の耐風圧向上
  • 基幹ネットワークの冗長化
  • 成層圏での高高度通信ネットワークの構築
4℃
シナリオ
IPCC
SSP
5-8.5
慢性 気温上昇、水ストレス地域の拡大 空調コスト増、調達や事業用水確保への影響 1.5℃
シナリオ
IPCC
SSP
1-1.9
  • 省エネ設備への転換
  • AI、IoT活用による電力使用の効率化
4℃
シナリオ
IPCC
SSP
5-8.5
移行リスク
市場/
評判
顧客の行動変化、嗜好変化 市場変化への対応遅れによるブランドイメージの低下、ビジネス機会損失 1.5℃
シナリオ
IEA:NZE
/SDS/
STEPS
  • 再生可能エネルギーの電力提供推進
  • 人の移動を抑えるリモートサービスやEコマース市場などの拡大
  • シェアリングエコノミー関連ビジネスの拡大
  • エネルギー効率に優れたソリューション市場拡大
情報開示に対する不十分な評価 失注・不買運動等、ならびに人材採用、資金調達、株価への影響
  • 積極的な情報開示
  • 社会全体のCO2削減への貢献
  • ネット募金などによる人々の行動変容の促し
政策と法 規制強化 新税制の導入や規制強化、訴訟リスクの高まり等によるコスト増
  • ネットゼロ(スコープ1、2、3)達成(2050年度)
  • カーボンニュートラル(スコープ1、2)達成(2030年度)
技術 脱炭素新技術への移行 開発コスト増、移行遅延による財務への影響、投資の失敗
  • 省エネ設備への転換
  • AI、IoT活用による電力使用の効率化
[注]
  1. ※1
    リスクの大きさ:影響度を高/中/低で記載
  2. ※2
    時間軸:短期(2023年)、中期(~2025年)、長期(2026年~)

b. 戦略および財務計画への影響

当社は国内通信事業を主力サービスとし、2023年度は2,435,781MWh(連結売上比率99.5%)の電力を全国約30万局の基地局をはじめとするネットワーク設備の運用で使用しています。生成AI(人工知能)の普及が進むことによりデータセンターなどの電力需要の急増が見込まれる背景を踏まえ電力量は増加する見込みです。また、日本の国土面積の68%は森林で、南北に長い国土の中央を急峻な山脈が貫く山岳地形のため、河川は短く急流で、また脆弱な地質地盤が多く、梅雨後期や台風シーズンには局所的豪雨による土砂災害や洪水被害、それに起因する停電のリスクがあります。

4℃シナリオ

気候変動対策の強化をはじめとする政策・法規制の強化や、技術、市場、評判などの移行リスクは限定的である一方、異常気象の激甚化による急性のリスクや気温上昇、水ストレス地域の拡大による慢性のリスクが生じると仮定し、過去10年で発生した大雨特別警報の豪雨による当社被害がもっとも大きかった2019年度の復旧コスト7.7億円をもとに、将来発生が予見される財務への潜在的影響を試算しました。

  • 物理リスク(急性)

    生物多様性の損失による森林の防災機能低下により、地球温暖化の進行による自然災害の頻発・激甚化に伴う基地局など通信設備の災害対策や復旧によるコスト増、バリューチェーンの断絶による調達への影響、ビジネス機会損失、被災設備による近隣被害の誘発などを潜在的リスクと認識し、過去の当社コストを指標とし、将来発生が予見される財務への潜在的影響を検討しました。
    その結果、高リスク地域を中心に通信設備の強化対策を行った場合も、頻発化、激甚化する気候災害のリスクを完全に排除することは困難であり長期リスクとして発生可能性が高く、大規模に発生した場合には通信サービスが途絶し社会的責任が生じると考えております。
    対策として、国土交通省の洪水浸水想定区域データを使用し、屋外に設置した全ての基地局(屋上等を除く)を対象に物理リスクの評価を実施した結果、関東地方および中四国地方の沿岸部および河川部のリスクが特に高いことを確認しております。一例として令和元年10月の台風19号発生の際には、関東地方を含む広範囲に記録的豪雨による河川の氾濫や土砂災害をもたらし、死者・行方不明者は100名を超え、当社の多数の基地局も水没や停電など甚大な被害を受け通信できないエリアが発生しました。台風や線状降水帯の発生回数の増加に伴い、発生確率が上昇傾向にある洪水被害への適応策として、設備破損リスク低減、広域停電時におけるサービスの安定的に継続するために、2023年度は約21億円を投資し主に以下の計画を策定・実施しました。2023年度は、重大なエリア支障につながる事案は発生しませんでした。

    • 災害拠点病院・離島役場カバー局 バッテリー強化
    • 衛星アンテナ強化
    • 有線給電ドローン無線中継システム強化
    • バッテリー定期リプレイス
    • 可搬型発電機メンテナンス
  • 物理リスク(慢性)

    地球温暖化と生物多様性の劣化の影響による洪水、渇水など水ストレスに伴う、半導体供給遅延などによる調達への影響、データセンターのサーバー冷却水等の事業用水確保に伴う影響を検討しました。
    その結果、サプライチェーン見直しや水利用の効率化による対策強化により、発生可能性の最小化は可能だが、一方で水リスクはグローバルな問題であり海外への水依存度の高い日本においてはリスクを完全に排除することは困難であり、発生した場合には商品の供給停止など財務に与える影響が大きいと考えています。

1.5℃シナリオ

事業に影響を与えるレベルの気候変動による急性あるいは慢性の物理リスクは生じない一方、気候変動対策の強化をはじめとする政策・法規制の強化や、技術、市場、評判などの移行リスクが影響をおよぼす可能性を検討しました。

  • 移行リスク(市場/評判)

    パリ協定の目標達成に向けて企業に対する野心的な目標の要求は年々高まっており、当社の取り組みが対応不足と判断された場合の売上や株価、ブランドイメージなどへの影響、また自然資本の枯渇や社会不安による経済影響に伴う事業影響について検討しました。
    その結果、TCFD開示提言に基づく積極的な情報開示や、カーボンニュートラル実現につながる活動推進により企業価値の向上に努めることは優先的に取り組む事項であることを認識し、2020年4月にTCFDに賛同し、マテリアリティの一つとして「テクノロジーや事業を通じた気候変動への貢献」を設定しました。
    長期的には、資源枯渇と市場需要増による原材料のコスト増が考えられます。当社は、資源の有効活用のために、使用済み携帯電話リユース/リサイクル回収台数、撤去基地局通信設備リサイクル率、産業廃棄物リサイクル率をマテリアリティのKPIに設定しモニタリングしています。

  • 移行リスク(政策と法)

    気候変動対策の政策・法規制(地球温暖化対策のための税、地球温暖化対策の推進に関する法律など)が強化されると仮定し、2030年度にCO2換算1t当たり16,000円程度の炭素税が課された場合の影響額を試算しました。国内において現時点での発生可能性は低いと考えていますが、発生した場合には一定の財務影響が生じます。今後の国内の法規制として炭素賦課金の動向に注視いたします。なお対策として当社は2030年度までに事業活動で使用する電力などのエネルギーを全て再エネ化するカーボンニュートラル2030に向け移行する計画を推進しております。また生成AI(人工知能)の普及が進むことによりデータセンターの電力需要の急増が見込まれる背景を踏まえ、2023年には長期の再生可能エネルギー調達契約を結び、2030年度に自社で使用する電力の50%以上を再生可能エネルギーによる発電で調達する目標を新たに設定いたしました。

    [注]
    1. ソフトバンク(株)およびWireless City Planning(株)
  • 移行リスク(技術)

    規制に対応するための技術不足による事業推進への影響について検討しました。現時点での発生可能性は低いと考えていますが、他社とのサービスレベルに差が発生した場合には競争力低下をまねく恐れがあります。

リスク対応策、機会

事業リスクを低減するための対応は、同時に大きな事業機会ともなりえます。AIやIoT、ビッグデータなどの最先端テクノロジーを活用し、膨大な環境データをAIの学習機能によって分析することで、地球環境に与える影響が予測できるといわれています。その予測からさまざまな対策を打てるようになるため、環境問題における最先端テクノロジーの活用は世界で注目されています。当社が強みとするAIやIoTなどの最先端テクノロジーやグループ企業とのシナジーを最大限に活用し環境負荷軽減に取り組みます。下記に取り組み例を記載します。

  • CO2排出量実質ゼロ「自然でんき」

    当社は、再生可能エネルギー指定の非化石証書を組み合わせることで、実質的に再生可能エネルギー比率100%・CO2排出量ゼロを実現する家庭向け料金メニュー「自然でんき」を提供しています。2023年度は「自然でんき」の提供を通じて、年間でCO2排出量約3.9万t-CO2の削減効果を生み出しました。

  • 日本最大の家庭向け節電サービス「エコ電気アプリ」

    当社は電力サービスをご契約のお客さまに対して「エコ電気アプリ」を無償で提供しています。「エコ電気アプリ」は、エンコアードジャパン(株)の独自AIを含む特許技術を活用し、スマートフォンアプリを通してお客さまに節電を呼びかけるサービスです。アプリからでんき代の確認や予測を行える他、節電状況やCO2の削減状況を確認できます。節電に成功すると翌日にはPayPayポイントが付与されるため、電気料金の削減とともにおトクに節電に取り組んでいただけるだけでなく、お客さまの行動変容によって脱炭素に貢献できるサービスとなっています。

  • 脱炭素経営を支援する「クラウド炭素管理」

    GHG排出量を算定・可視化するクラウドサービスで、(株)ゼロボードが開発・提供するGHG(温室効果ガス)の排出量を算定・可視化するクラウドサービス「Zeroboard(ゼロボード)」をもとに、当社が提供する法人向けのソリューションなどとの連携を見据えて最適化されたクラウドサービスになります。ゼロボードが持つ脱炭素化に向けた知見やノウハウを最大限に活用して、法人のお客さまの脱炭素経営や持続可能な社会の実現に貢献するとともに、自社においても「クラウド炭素管理」をより積極的に活用して、GHG排出量算定の精度向上や工数削減につなげ、カーボンニュートラルに向けたグループ全体での取り組みを強化していきます。

  • IoTを活用した自転車シェアリングシステム「HELLO CYCLING」

    当社のグループ会社であるOpenStreet(株)は、モビリティを所有せずに移動手段として利用できる環境に優しいシェアモビリティサービスを提供しています。シェアサイクリングプラットフォーム「HELLO CYCLING」とマルチモビリティシェアサービス「HELLO MOBILITY」により、自転車・スクーター・超小型EVを一つの拠点から貸出できる「マルチモビリティステーション」を各自治体やパートナー企業と連携し展開しています。これにより、まちの交通利便性の向上を実現する他、各車両に利用する電力の一部を再生可能エネルギー由来の電力で供給し、低炭素社会の実現に貢献します。今後も再生可能エネルギーを利用した電動モビリティの普及を目指し、地球環境と共存する社会の実現に取り組んでいきます。

  • 自然災害の影響を受けない成層圏通信システム「HAPS」

    地上約20キロメートルの成層圏から通信ネットワークを提供する、成層圏通信システム「HAPS(High Altitude Platform Station)」サービスの商用化に向けた取り組みを推進しています。山岳部や離島、発展途上国など、通信ネットワークが整っていない場所や地域に安定したインターネット接続環境の構築が可能となるとともに、地上の影響を受けることなく安定した通信ネットワークを提供できるため、大規模な自然災害発生時における救助や復旧活動への貢献も期待できます。2022年1月にはHAPS事業に資金使途を限定したESG債(HAPSボンド)を発行し300億円を調達しました。

  • 分散型AIデータセンターの構築

    当社は、AIと共存しAIが自律的に協調する次世代社会への発展には、膨大なデータの生成・処理を可能にする次世代社会インフラの構築が必要と考えています。現在のデータセンターは東京や大阪に多く、データ処理や電力消費が都市部に集中している状況となっており、このままデータ処理や電力消費が増え続けると都市部の停電のリスクが高まります。そこで、大規模な計算能力を持つデータセンター(Brain Date Center)を全国4カ所程度に分散配置することを計画しています。2023年には経済産業省の公募事業に採択され、国の補助金を受けて、北海道苫小牧市に大規模な計算基盤などを整備したデータセンターを建設します(2026年度開業予定)。そして、グリーンエネルギーの開発が進んでいて、安定的に電力を調達できる地方各地にデータ処理を分散させる拠点(Regional Brain)を配置します。さらにスマートフォンなどのデバイスに近接するポイントでMEC(Multi-access Edge Computing)を活用することにより、分散型AIデータセンターを構築します。分散型AIデータセンターを実用化することで、爆発的に増加することが見込まれるデータを分散処理し、全体の計算能力を高めるとともに、消費電力の最適化を実現します。

  • 光電子結合ネットワークの全国展開

    当社は、Beyond 5G/6Gを見据えて、増加するデータ通信の需要を満たしつつ、カーボンニュートラルを達成するネットワーク建設を目指し、富士通の次世代光伝送装置を用いた全光通信ネットワークの全国展開を2023年10月に完了しました。当社が全国展開を完了したAll optical networkは、通信ネットワークの全ての領域に光の技術を用いていおり、All optical技術対応機器との接続および水冷トランスポンダー技術の適用により、消費電力を従来比最大90%削減しました。また、従来型設備との接続時も、最新の光電変換技術により従来比約50%の低消費電力化を実現し、あらゆる接続環境で高い電力効率を発揮できる環境配慮型ネットワークです。また、通信性能の向上も図り、1対の光ファイバーを用いて、従来の約2倍となる最大48.8Tbpsの大容量・高速伝送も実現しています。

    [注]
    1. 従来比:ソフトバンクが従来使用している機器との比較

c. 戦略のレジリエンス

当社は、世界全体の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃以下に抑えるための科学的根拠に基づくGHG排出量削減目標・ネットゼロ目標の達成に向けた移行計画として、サプライチェーン全体の排出量削減ロードマップを作成しました。
ロードマップ策定のため、環境省の「令和4年度大企業のサプライチェーン全体の脱炭素化推進モデル事業」に参画し、取引先に対して排出量削減に関するガイドラインを展開し、パリ協定に沿った排出削減目標の設定と進捗状況の公表などについて要請しました。今後、ネットゼロへの移行に向けて、自社の活動を短期(2022年~2025年)・中期(2026年~2030年)・長期(2031年~2050年)の3段階に応じて以下の施策を実施します。

Scope1、2の排出量削減

  • 最新テクノロジーを活用した省エネ対策

    • 通信設備の省エネ化の推進
    • AIやIoTを活用したオフィスのスマートビル化
    • 次世代光伝送装置を用いた光電子結合ネットワークの全国展開
    • 超分散コンピューティング基盤の構築(xIPF)によるエネルギー消費効率の改善
  • 再生可能エネルギーへの切り替え

    • 全使用電力を順次再エネ化
    • 電力の50%を再生可能エネルギーによる発電からの電力に切り替え(ソフトバンク(株)およびWireless City Planning(株))
    • 分散型AIデータセンターの推進
    • エネルギーの地産地消の実現

Scope3の排出量削減

  • ステークホルダーとの協働

    • 取引先に対する排出量削減ガイドラインの展開
    • 取引先と協働した排出量の削減(カテゴリー1、2)
    • 省エネルギー・サービスの提供
    • 高環境配慮自動車の導入

その他

  • 最新技術等の活用やオフセット

    • 環境負荷の少ない通信インフラ「HAPS」の実現
    • 残余排出対策として中和クレジットやCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)等の活用検討
2050年ネットゼロにむけた移行計画
[注]
  1. SBTネットゼロ目標およびSBT短期目標はSBTi認定済みとなっており、基準年排出量および削減目標についてはSBT認定内容をもとに記載しています。
  2. 移行計画は2024年6月時点の計画であり、今後の事業戦略に応じて修正する可能性があります。

リスク管理

a. 気候変動リスクの特定および
評価プロセス

当社のコンシューマ・法人・流通・メディアEC・金融の各事業について、生物多様性や気候変動など地球環境に関わる自社および自社事業の隣接地域、サプライチェーン上下流を含めた事業リスクの評価を実施しています。
事業リスクはESG推進担当役員の監督のもと、CSR本部長を委員長とし当社各事業部および主要な当社グループの環境委員で構成する環境委員会にて年一回以上の選定や見直しを行います。選定された事業リスクは、CSR本部を中心に関連各部と検討を行いシナリオ分析を実施し影響度を検討しESG推進担当役員による評価を行います。

b. 管理プロセス

特定されたリスクはCSR本部にて管理し、各ステークホルダー向けに開示を行います。また環境委員会にて対応策の策定・実行について確認し、モニタリング・進捗管理を行い全社リスク管理プロセスへ統合します。

c. 全社管理プロセスへの統合

全社的なリスクの特定と顕在化を防止するため、社内でさまざまな角度から分析をする管理体制を整えています。各部門が現場で各種施策を立案する際にリスクを含めた検討を実施するとともに、リスク管理室が、全社的・網羅的リスクの把握と対策状況のチェックを定期的に実施し、リスク管理委員会(社長、副社長、CFO等を委員とし監査役や関係部門長などが参加)に報告しています。リスク管理委員会では、リスクの重要度や対応する責任者(リスクオーナー)を定め、対策指示等を行い、状況を取締役会に報告します。内部監査室はこれら全体のリスク管理体制・状況を独立した立場から確認します。CSR本部で管理し環境委員会でモニタリングを行う気候変動などのリスクは、全社リスク管理と統合し、重要リスクとして定期的なリスクマネジメントサイクルを回すことにより、リスクの低減と未然防止に取り組んでいます。

指標と目標

a. リスクと機会の評価に用いる
指標

温室効果ガス排出量スコープ1(自らによる温室効果ガスの直接排出)、スコープ2(他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出)およびスコープ3(当社の事業活動に関連する他社の排出)をはじめとする環境負荷データの管理を行っています。

b. 温室効果ガス排出量

2023年度の温室効果ガス排出量はスコープ1:5,816t-CO2、スコープ2:516,204t-CO2、スコープ3:9,287,324t-CO2になります。詳細数値はデータブックをご参照ください。2023年度のカバレッジは基本的にグループ連結売上比率99.5%になります。異なる場合は表中に記載いたします。

c. 目標および実績

スコープ1、2の目標として、2030年までに事業活動で使用する電力などによる温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル目標を設定しました。2023年度までに基地局電力の80%の実質再エネ化を完了し、さらに、基地局以外の全ての自社の施設・設備での使用電力についても温室効果ガス削減を推進します。
また長期の再生可能エネルギー調達契約を締結し、2030年度までに自社で使用する電力の50%を再生可能エネルギーによる発電からの電力に切り替え、2050年までに100%の切り替えを目標とします。

2023年6月には、2050年度までにグループ連結でスコープ1、2、3を含む事業活動に関連する全ての温室効果ガス排出量(サプライチェーン排出量)を実質ゼロにする「ネットゼロ」の達成を宣言しました。

カーボンニュートラル2030~温室効果ガス排出量実質ゼロへ。~
ソフトバンクのネットゼロ~温室効果ガス排出量をサプライチェーン全体で実質ゼロへ。~

SBTネットゼロ認定を取得

Science Based Targets

スコープ3を含む当社の温室効果ガス排出削減目標は、国際的気候変動イニシアチブのSBTi(Science Based Targets initiative)によって科学的根拠に基づいた「SBT(Science Based Targets)」に認定されています。SBTの目標はこちらをご参照ください。

免責事項

将来の見通しに関する注意事項
当報告に記載する計画、予測、戦略などには、作成時点で入手可能な情報に基づき当社が判断した将来見通しが含まれています。このような事項は見通しと大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。業績に影響を及ぼすリスクや不確定要素の中には、当社の事業環境を取り巻く自然環境、経済情勢、市場競争、為替レート、税、またはそのほかの制度などが含まれます。