プレスリリース 2025年
5Gミリ波のFWAを活用した屋外Wi-Fi通信の実証に成功
~大規模イベント会場において高速で、かつ安定した通信環境を提供~
2025年12月9日
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、2025年10月に実施した商用ネットワーク環境でのミリ波スタンドアローンによるFWA(Fixed Wireless Access、固定無線アクセス)通信の実証実験※を発展させ、このたび新たに屋外での公衆Wi-Fi通信の実証実験に成功しました。
今回の実証実験では、5G(第5世代移動通信システム)向けに割り当てられた28GHz帯のミリ波(29.1〜29.5GHz帯)をFWAのバックホール回線として利用し、3日間で延べ16万人以上が来場した大規模な屋外イベント会場において公衆Wi-Fiサービスを提供しました。その結果、ミリ波非対応の端末(スマホなど)を含む多数の端末のトラフィックをモバイルネットワークから公衆Wi-Fiサービスへ効率的にオフロードしながら、高速で、かつ安定した通信を実現できることを確認しました。
今後ソフトバンクは、ミリ波FWAとWi-Fi通信の組み合わせの最適化なども含め、ミリ波のさらなる利活用に向けた検証を進めていきます。
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- ※詳細は2025年10月28日付のプレスリリース「5Gでのミリ波スタンドアローンによるFWA通信の実証に成功」をご覧ください。
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背景
ミリ波は、広帯域・大容量通信が可能である一方、直進性が高く電波が届きにくいという特性などからエリア展開が難しいとされており、商用サービスでの利用は限られていました。一方で、災害時の通信確保や、光回線の整備が難しい地域・教育機関・公共施設などへの高速通信の提供手段としての活用が期待されています。
ソフトバンクは、Wi-Fiとの連携により、ミリ波に対応していないスマホなどをご使用のお客さまにも高品質な通信環境を提供し、ミリ波の有用性をより広く社会に展開していくことを目指しています。
実証実験の概要
今回実施した実証実験では、商用の5Gミリ波の基地局および屋外設置型のFWA用CPE(Customer Premises Equipment、構内設置機器)を用いて、屋外環境における公衆Wi-Fi通信の提供の可能性を検証しました。
東京都豊島区で開催された大規模イベント会場(3日間で延べ16万人以上が来場)において、Wi-Fiアクセスポイントを6台設置して検証したところ、最も混雑した時間帯においても安定した高速通信を実現しました。ミリ波の広帯域・大容量という特性を活用することで、多数の端末のトラフィックが集中する環境でも安定したWi-Fi通信の提供が可能なことを確認しました。なお、今回のWi-Fi通信は、“ソフトバンク”および“ワイモバイル”のお客さまに加え、他の通信事業者の利用者や訪日外国人を含む一般の来場者にも提供しました。
今回の実証実験では、公衆Wi-Fiサービスの実運用を想定し、チャネル帯域幅を20MHzに制限した条件下で実施しましたが、今後より広い帯域幅を用いることで、さらなるスループットの向上が見込まれます。これにより、多くのスマホが同時に接続した際のトラフィックを効率的に公衆Wi-Fiサービスへオフロードすることで、モバイルネットワークの負荷軽減および全体の通信品質向上への貢献が期待されます。
今回使用した機材は全て小型・軽量で、光ファイバーなどのケーブルを敷設することなく短期間で設置することが可能です。また、ミリ波の基地局の電波が届く範囲であれば設置場所も柔軟に選択できるため、さまざまな屋外イベントでの活用が見込まれます。
実証実験の構成図
設置した機材
今後の展望と想定されるユースケース
ソフトバンクは、今回の実証実験の結果を踏まえ、次のようなユースケースへの展開を検討していきます。
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- 自治体・公共施設での即時対応型の通信インフラ
防災拠点や庁舎間通信網を迅速に構築して、短期間で通信エリアを展開
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- 教育現場での高速通信
校舎などにミリ波FWAで光回線と同等の通信を提供し、災害時には避難所の大容量通信手段として活用
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- イベント会場やスタジアムでの快適な通信環境
Wi-Fiとの連携により、混雑時でも快適な大容量オフロード環境を実現
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- 産業インフラの高度化
工場や港湾などでの映像監視や遠隔制御、IoT(Internet of Things)通信を低遅延・高信頼で実現
実証実験協力
池袋ハロウィンコスプレフェス実行委員会:実証フィールドの提供
富士ソフト株式会社:ミリ波CPEの提供、実施協力
- Wi-Fiは、Wi-Fi Allianceの登録商標です。
- SoftBankおよびソフトバンクの名称、ロゴは、日本国およびその他の国におけるソフトバンクグループ株式会社の登録商標または商標です。
- その他、このプレスリリースに記載されている会社名および製品・サービス名は、各社の登録商標または商標です。
- ソフトバンクの通信ネットワークに関する取り組み
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ー日常から未来へ、“つながる安心”を全国にー
ソフトバンクは、誰もがいつでもどこでも快適につながる社会の実現に向けて、下記の三つの視点から通信ネットワークの高度化と信頼性向上に取り組んでいます。
- 日常がつながる:暮らしの足元を支えるネットワーク
- 都市部をはじめ全国各地における5G/4G基地局の整備やAI(人工知能)による電波干渉の最適制御、ビッグデータを活用した通信トラフィック分析を通して、日常の通信品質の向上を継続的に進めています。通信速度の速さだけでなく、快適さを体感できる通信品質を大切にした“つながる安心”をお客さまに提供し、その価値を体感していただくことを何よりも重視して、日々の暮らしを支える安定した通信ネットワークの構築に取り組んでいます。
- 非日常もつながる:イベントや災害でも“つながる安心”を
- 大規模イベント開催時や災害発生時など、通信需要が一時的に急増する場面でも、移動基地局車・ドローン基地局・可搬型設備の配備や無料Wi-Fiの提供など、全国で臨時の通信対策を実施しています。
電波が届きにくい環境においても、お客さまが安心してサービスを利用できるよう、安定した通信環境の確保に取り組んでいきます。
- 未来のネットワークへ:空・海・山、あらゆる場所で“つながる”
- 人工衛星や成層圏通信プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)を活用した非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)により、災害時の通信の迅速な復旧や、山間部や離島などのこれまで電波が届きにくかったエリアへのカバレッジ拡大に取り組んでいます。ソフトバンクが掲げる「ユビキタストランスフォーメーション(UTX:Ubiquitous Transformation)」というビジョンの下、地上のモバイルネットワークとNTNを融合させることで、あらゆる場所・場面でつながり続ける通信インフラの構築を目指します。
また、AIと人間が共存する社会の実現に向けて、分散型AIデータセンターを中心とした次世代社会インフラの構築を進めていきます。
- 日常がつながる:暮らしの足元を支えるネットワーク