プレスリリース 2026年

ソフトバンクとエリクソン、日本で初めてエリクソンの
「AI in RAN」を5G商用ネットワークで実証

~無線アクセスネットワークにおけるAIの有効性を検証~

2026年8月20日
ソフトバンク株式会社
エリクソン・ジャパン株式会社

ソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員 兼 CEO:宮川潤一、以下「ソフトバンク」)とエリクソン・ジャパン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:安東宏昭、ジャワッド・マンスール、以下「エリクソン」)は、ソフトバンクの5G(第5世代移動通信システム)商用ネットワークにおいて、エリクソンの「AI in RAN」ソフトウエアの機能である、AIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラーの有効性を日本で初めて※1実証しました。

この実証では、エリクソンの「AI in RAN」を活用し、RAN(無線アクセスネットワーク)の内部にAI(人工知能)を直接適用してリアルタイムに動作させ、5G商用ネットワーク環境でスペクトル効率※2やユーザースループット、堅牢性、安定性を評価しました。その結果、従来の技術と比較してスペクトル効率が最大約25%、下りユーザースループットが最大約50%向上した他、全ての評価エリアにおいて、スペクトル効率と下りユーザースループットが共に平均約10%改善し、一貫して性能を向上できることを確認しました。この結果は、AIネイティブなモバイルネットワークの進化に向けた重要な一歩となります。

[注]
  1. ※1
    2026年7月31日時点の国内でのエリクソン製装置の導入実績に基づく(エリクソン・ジャパン調べ)
  2. ※2
    スペクトル効率とは、与えられた周波数帯域幅でどれだけ多くのトラフィックを伝送できるかを示す指標のこと。

実証の背景

昨今、生成AIなどの普及により、AIアシスタントや自律型エージェント、没入型アプリケーションなどが日常的に使われるシーンが増加しています。このようなサービスの利用拡大に伴い、モバイルネットワークにおいては、トラフィックの増加に加え、新たなトラフィックパターンや、より高度な接続ニーズへの対応が求められており、必要な場所で信頼性の高い通信サービスを提供することが重要です。

しかし、こうした需要には、ネットワーク容量の増強だけでは十分に対応できません。RANにAIを直接適用することで、無線環境やトラフィックの変化に柔軟に対応し、ネットワークの性能と効率を最適化するとともに、既存のリソースを有効活用することができます。このたびソフトバンクとエリクソンは、エリクソンの「AI in RAN」の機能の一つであるAIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラーを、5G商用ネットワークで実証することで、AIネイティブ技術が既存のネットワークの性能を高め、次世代のAIサービスを支える高性能な通信基盤の構築に貢献できることを確認しました。

RANへのAI活用:リアルタイムで5Gの性能を最適化

従来のリンクアダプテーション※3の最適化手法は、主にオフラインでの分析や静的なパラメーター設定に基づくルールベースのアルゴリズムに依存していましたが、エリクソンのAIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラーは、通信基地局のベースバンド装置上にあるAIのリアルタイムな判断に基づいて実行することができます。AIモデルが複雑かつ刻々と変化する無線環境への対応を学習して推論することで、下記のような事柄が実現可能になります。

  • セル境界や電波干渉が大きいエリア内のユーザーに対するリンクパラメーター設定の最適化
  • セル境界や混雑したエリアなどの厳しい無線環境下におけるユーザースループットの安定化
  • スペクトル効率の向上による、既存周波数帯域でのトラフィック収容能力の拡大

今回の実証では、5G-Advancedや将来の6G(第6世代移動通信システム)に向けた両社の連携を通して、AIが高性能かつセキュアで柔軟なネットワークの実現に貢献できることを確認しました。

[注]
  1. ※3
    リンクアダプテーションとは、電波状況に応じて変調方式や符号化率をリアルタイムに調整し、データレートを最適化する技術のこと。
RANへのAI活用:リアルタイムで5Gの性能を最適化

AIネイティブなRANに向けた技術協力

今回の実証は、ソフトバンクとエリクソンのAIネイティブなRANの実現に向けた協業の一環で実施しました。各社の主な役割は、下記の通りです。

  • ソフトバンク:トラフィック特性を踏まえた評価エリアの要件定義
  • エリクソン:実際のネットワークデータを用いたAIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラーモデルの学習。学習済みモデルを使用したチャネル容量予測および最適な下り伝送レートのリアルタイム選択の実装・チューニング
  • 両社:パラメーター設計から評価までを継続的に連携して実施

今後両社は、ソフトバンクのネットワークから得られた知見と、エリクソンの「AI in RAN」に関する専門知識を組み合わせることで、ソフトバンクの運用環境に即したネットワーク性能のさらなる向上と、AIネイティブなRANソフトウエアの継続的な進化を目指します。

ソフトバンクの常務執行役員 兼 CNOの大矢晃之は次のように述べています。
「ソフトバンクは、『Activate AI for Society』という成長戦略の下、AIがもたらす恩恵をより多くの人々や産業へ届けることを目指しています。AIの社会実装が急速に進展する中、モバイルネットワークにはこれまで以上に大容量かつ変動性の高いトラフィックへの対応が求められています。今回、エリクソンと共同で、ソフトバンクの5G商用ネットワーク上でAIネイティブ・リンクアダプテーション用スケジューラーの有効性を実証しました。この成果は、AIを活用したRANの高度化における重要なマイルストーンであり、将来のAI時代を支えるネットワークの実現に向けた大きな一歩です。ソフトバンクは今後も、AIネイティブなネットワークの実現に向けた取り組みを加速させていきます」

エリクソンのネットワーク戦略・製品管理部門責任者、マーテン・ラーナーは次のように述べています。
「ソフトバンクと取り組んだ今回の実証は、エリクソンのAIネイティブRAN戦略と技術リーダーシップの有効性を示す重要な成果です。テレコムグレードのAIをRANに適用し、既存ネットワークに導入済みのエリクソン製シリコンを活用することで、リアルタイムでの最適化を実現し、5G商用ネットワークにおける性能と効率の向上を可能にしています。今回の成果は、高度なAI機能と通信事業者の専門知識、そして適切に管理されたデータを組み合わせることで、AIのイノベーションを性能やお客さま体験の明確な向上に結び付けられることを示しています」

エリクソン・ジャパンの代表取締役社長、ジャワッド・マンスールは次のように述べています。
「エリクソンは、AIの真価を最大限に引き出す上で、モバイルネットワークの果たす役割は今後ますます重要になると考えています。今回の実証では、商用可能なハードウエアとソフトウエアを用いたネットワークにおいて、RANにAIを直接適用することで、大幅な性能向上を実現できることを示しました。ソフトバンクと共に、AIネイティブ技術を通じてネットワークの性能と効率をさらに高め、お客さま体験の向上と将来のAIトラフィック需要への対応を可能にするネットワーク基盤の実現に貢献していきます。今後も両社のパートナーシップを一層強化し、日本発の先進的なネットワークソリューションを世界に発信していきます」

関連リンク

Ericsson AI in RAN - Ericsson(英語のみ)
AI RAN for smarter network connectivity - Ericsson(英語のみ)
よりスマートなRANへ―エリクソン、AIを最適な場所に組み込む新ソフトウェアを発表(2026年6月)

エリクソンについて

エリクソンの高性能でプログラマブルなネットワークは、毎日何十億人もの人々にコネクティビティを提供しています。エリクソンは150年にわたり通信テクノロジー開発のパイオニアであり続け、通信事業者や企業にモバイル通信とコネクティビティのソリューションを提案しています。お客さまやパートナーとともに、エリクソンは未来のデジタルな世界を実現します。
www.ericsson.com

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ソフトバンクの通信ネットワークに関する取り組み

ソフトバンクはAI(人工知能)社会を支える通信基盤の構築に向けて、AIやビッグデータを活用し、通信品質の向上とネットワーク運用の高度化に取り組んでいます。

また、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、通信ネットワークの高度化と信頼性の向上を一体的に推進しています。 地上ネットワークの強化や災害対策、さらに非地上系ネットワーク(NTN)との融合により、平常時から災害時まで安定した通信環境の提供を目指します。

  • 平常時における通信品質向上のため、都市部や全国各地で5G SA(スタンドアローン)を中核としたネットワーク基盤の整備を進めるとともに、AIやビッグデータを活用し、通信トラフィックの状況に応じてネットワークを効率的に運用することで、お客さまの体感品質を継続的に向上させています。
  • 大規模イベントや自然災害など、通信需要が急増する状況では移動基地局車や可搬型設備、ドローン基地局などを組み合わせて、安定した通信環境の確保に努めています。
  • ユビキタストランスフォーメーション(UTX)のビジョンの下、衛星通信や成層圏通信プラットフォーム(HAPS)などのNTNと、地上のモバイルネットワークの融合により、災害時の早期復旧や山間部・離島でのサービスエリア拡大など、陸・海・空のあらゆる環境で利用可能な通信基盤の構築を進めています。