プレスリリース 2019年

② 算定の経緯

  1. (ⅰ)
    本公開買付価格の価格決定に至る経緯

ソフトバンク及びZHD並びにNAVER及び対象者は、2019年6月中旬から業務提携を含む様々な可能性について協議を開始いたしました。その後、4社において、同年8月上旬ごろから本経営統合の実現可能性及び方法につき、適用ある国内外の法令等上の制約等も念頭に、その選択肢について幅広く協議及び検討を重ねて参りました。かかる協議を通じ、8月の中旬から下旬にかけて、本経営統合の方法として、公開買付者らが共同で、対象者に対して公開買付けを行うこと、対象者が対象者承継会社に対して対象者の全事業を承継させる吸収分割を行うこと、ZHDを株式交換完全親会社、対象者承継会社を株式交換完全子会社、その対価をZHD株式とする本株式交換を行うこと等一連の取引の実現可能性を中心に初期的な検討を進めることといたしました。また、2019年9月上旬には、各当事者間で本件の意義等について理解を共有し、デュー・ディリジェンスの実施を含めた一層の検討を進めることといたしました。これを受けて、2019年9月下旬から同年11月上旬まで、シナジー等を含む本経営統合の目的についての協議を引き続き行う一方、公開買付者ら及びZHDによる対象者に対するデュー・ディリジェンス、NAVER及び対象者によるZHDに対するデュー・ディリジェンスが実施されました。かかる経緯を経て、4社間において、公開買付者らによる対象者の非公開化を含む前記「1. 買付け等の目的等」の「(3)本公開買付けに関する重要な合意等」の「①本統合最終契約及び本取引契約」の「(ⅰ)本経営統合の方式等」記載の方法を検討の中心とすることにつき、基本的な共通理解が形成されるに至ったことから、2019年11月18日付けで、本統合基本合意書を締結するに至りました。また、公開買付者らは、同日付けで、本経営統合を実現するための取引に向けた、本公開買付けの提案に係る意向表明書を対象者に対して提出いたしました。当該意向表明書において、公開買付者らは、対象者に対して、本公開買付価格について、本経営統合によるシナジーや支配権の移転に伴うプレミアム等も勘案し、対象者株式1株当たり5,200円を提案しました。
本統合基本合意書の締結以降、ソフトバンク及びZHD並びにNAVER及び対象者は、本統合最終契約の締結に向けて、本経営統合に関する一連の取引における詳細な諸条件や取引の手法等について、一層の検討を行ってまいりました。また、上記の検討と並行して、公開買付者らは本公開買付価格について、対象者との間で、2019年12月上旬以降、複数回にわたる協議・交渉を重ねてまいりました。具体的には、公開買付者らは、対象者に、2019年12月10日には改めて本公開買付価格を5,200円とする提案を、同月18日には本公開買付価格を5,320円とする提案を行っておりましたが、これらに対し、対象者から、いずれも妥当な価格に達していないとして、提案内容の再検討の要請を受けました。以上の交渉を踏まえて、公開買付者らは、2019年12月20日に本公開買付価格を5,380円とする提案を行いました。その後、公開買付者らと対象者は、2019年12月23日、本公開買付価格を1株当たり5,380円とすることで合意に至り、NAVERは、本日開催した取締役会の決議により、ソフトバンクは、本日開催の同社取締役会の決議に基づき一任された代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内 謙の決定により、それぞれ本公開買付けを実施することを決定いたしました。
また、公開買付者らは、それぞれ以下の経緯により本公開買付価格を決定いたしました。

(NAVERによる買付価格の決定に至る経緯)

  1. (a)
    算定の際に意見を聴取した第三者の名称

NAVERは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立した第三者算定機関として、ファイナンシャル・アドバイザーであるドイツ証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼いたしました。なお、ドイツ証券は公開買付者ら、ZHD及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有しておりません(本経営統合に関する一連の取引に係る業務に関連して受領する手数料を除きます。)。

  1. (b)
    当該意見の概要

ドイツ証券は、対象者株式が東京証券取引所に上場していることから市場株価平均法を、また、NAVERの経営陣から提供された対象者の事業活動の将来予測及びその他の情報を算定に反映するためにDCF法の各手法を用いて対象者株式の株式価値の算定を行っており、各手法において算定された対象者株式の1株当たり株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

市場株価平均法 3,570~4,585円
DCF法 3,819~5,497円
  1. (c)
    当該意見を踏まえて買付価格を決定するに至った経緯

NAVERは、ドイツ証券から取得したDB算定書の算定結果(詳細は前記「① 算定の基礎」をご参照ください。)に加え、NAVERにおいて2019年10月上旬から同年11月上旬まで実施した対象者に対するデュー・ディリジェンスの結果、過去の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例のうち親会社による上場子会社の完全子会社化を前提とした公開買付けにおいて買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアムの実例、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、対象者株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、対象者との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2019年12月23日付け取締役会決議に基づき、本公開買付価格を1株当たり5,380円と決定いたしました。

(ソフトバンクによる買付価格の決定に至る経緯)

  1. (a)
    算定の際に意見を聴取した第三者の名称

ソフトバンクは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立した第三者算定機関かつソフトバンクのファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼し、2019年12月23日付けで野村證券算定書を取得いたしました。なお、ソフトバンクは、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。

  1. (b)
    当該意見の概要

野村證券算定書によると、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された対象者の1株当たり株式価値の範囲はそれぞれ以下のとおりです。

市場株価平均法 3,570円~4,585円
DCF法 3,412円~5,142円
  1. (c)
    当該意見を踏まえて買付価格を決定するに至った経緯

前記「①算定の基礎」に記載のとおり、ソフトバンクは、野村證券から2019年12月23日付けで取得した野村證券算定書の算定結果に加え、2019年9月下旬から同年11月上旬までの期間において実施した一次的なデュー・ディリジェンスの結果、過去の本公開買付けと同種の発行者以外の者による株券等の公開買付けの事例において買付け等の価格決定の際に付与されたプレミアムの実例、対象者株式の市場株価の動向、対象者取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、NAVER及び対象者との協議・交渉の結果等を踏まえ、本日付けで、本公開買付価格を1株当たり5,380円とすることを決定いたしました。

  1. (ⅱ)
    本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

公開買付者ら及び対象者は、対象者が本日現在においてNAVERの連結子会社であり、対象者における本非公開化取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ることに鑑み、本公開買付けの公正性を担保する観点から、それぞれ以下のような措置を実施いたしました。

  1. (a)
    公開買付者らにおける独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

NAVERは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立した第三者算定機関かつファイナンシャル・アドバイザーであるドイツ証券に対して、対象者株式の株式価値の算定を依頼しました。なお、ドイツ証券は、公開買付者ら、ZHD及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本非公開化取引に関して、重要な利害関係を有しておりません。NAVERがドイツ証券から2019年12月22日付けで取得した対象者の株式価値の算定結果に関する株式価値算定書の概要については、前記「①算定の基礎」をご参照ください。
また、ソフトバンクは、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立した第三者算定機関かつソフトバンクのファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、対象者の株式価値の算定を依頼しました。なお、野村證券は、公開買付者ら、ZHD及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本経営統合に関して、重要な利害関係を有しておりません。ソフトバンクが野村證券から2019年12月23日付けで取得した野村證券算定書の概要については、前記「①算定の基礎」をご参照ください。

  1. (b)
    対象者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得

対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者らから提示された本公開買付価格を検討し、本公開買付けに関する意見を決定するに当たり、公正性を担保するための措置として、2019年7月、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立した第三者算定機関としてJPモルガン証券をファイナンシャル・アドバイザーに選定し、対象者株式の株式価値の算定を依頼するとともに、日米公開買付けにおける対象者株式に対する買付け等の価格(対象者株式1株当たり5,380円。以下本項において同じ。)が対象者の普通株主(公開買付者ら及びそれらの関係者を除きます。)にとって財務的見地から公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)の提出を依頼したとのことです。

JPモルガン証券は、対象者株式の価額について、対象者株式が東京証券取引所市場第一部に上場していることから市場株価分析による算定を行うとともに、将来の事業活動の状況を算定に反映するために対象者からJPモルガン証券に対して提出された、対象者の経営陣により作成されたスタンド・アローンベースの(本経営統合による影響を加味していない)事業計画及び財務予測に基づくDCF法による算定を行い、対象者に対して、対象者株式の株式価値(以下「株式価値」)に関する2019年12月23日付けJPM算定書を提出したとのことです。また、JPモルガン証券は、2019年12月23日付けで、日米公開買付けにおける対象者株式に対する買付け等の価格が、一定の前提条件の下、対象者の普通株主(公開買付者ら及びそれらの関係者を除きます。)にとって財務的見地から公正である旨のJPMフェアネス・オピニオンを対象者の取締役会に提出したとのことです。JPM算定書及びJPMフェアネス・オピニオンは、対象者の取締役会が本公開買付けを検討するに当たり、情報を提供し支援することのみを目的として作成されたものとのことです。なお、JPモルガン証券は、公開買付者ら、ZHD及び対象者の関連当事者に該当せず、本非公開化取引を含む本経営統合に関して、重要な利害関係を有していないとのことです。
JPM算定書によれば、採用した各手法に基づいて算定された対象者株式の1株当たりの株式価値の算定レンジは以下の表のとおりとのことです。
なお、市場株価分析については、2019年11月13日の東京証券取引所の売買立会時間終了後に本経営統合に関する憶測報道がなされたことを受け、2019年11月13日を算定基準日(以下「基準日」)として、基準日における対象者の東京証券取引所市場における普通株式の普通取引の終値、並びに基準日から遡る1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の終値の単純平均値を算定の基礎としているとのことです。
DCF法では、対象者がJPモルガン証券が使用することについて了承した、対象者の2019年12月期から2029年12月期までの事業計画及び財務予測、対象者の事業計画における収益や投資計画、対象者に対するインタビュー及びデュー・ディリジェンスの結果、その他一般に公開された情報等の諸要素等に基づき分析しているとのことです。対象者の各事業が創出すると見込まれる2021年12月期以降のフリー・キャッシュ・フローに対して、対象者の各事業に応じて6.0%から7.0%の範囲又は10.5%から12.5%の割引率を適用し、継続価値の算定に当たっては1.0%から2.0%の永久成長率を用いて、株式価値を算出しているとのことです。また、対象者の了承のもとでJPモルガン証券が、DCF法による算定において前提とした対象者の事業計画については、2019年12月期及び2020年12月期に戦略事業への投資と多額のマーケティング費用の計上を見込むことから営業赤字を、2021年12月期以降はマーケティング費用の削減や事業投資の効果出現に伴う損益改善等により、大幅な増益を見込んでいるとのことです。なお、対象者は、東京証券取引所に加えてニューヨーク証券取引所にも上場していることから、米国の証券規制上のリスクも慎重に勘案した結果、JPモルガン証券が、DCF法による算定において前提とした対象者の事業計画については、対象者プレスリリースに記載しないこととしたとのことです。

採用手法 対象者株式の1株当たりの株式価値の算定レンジ
市場株価分析 3,570円 ~ 4,585円
DCF法 4,371円 ~ 6,414円
[注]
  1. JPモルガン証券は、JPMフェアネス・オピニオンに記載された意見の表明及びその基礎となる対象者株式の株式価値の算定(JPM算定書を含み、以下同じです。)を行うに当たり、公開情報、対象者から提供を受けた情報又は対象者と協議した情報及びJPモルガン証券が検討の対象とした、又はJPモルガン証券のために検討されたその他の情報等の一切が正確かつ完全であることを前提としており、独自にその正確性及び完全性について検証を行っていないとのことです(また、独自にその検証を行う責任も義務も負っていないとのことです。)。JPモルガン証券は、対象者のいかなる資産及び負債についての評価又は査定も行っておらず、また、そのような評価又は査定の提供も受けておらず、さらに、JPモルガン証券は、倒産、支払停止又はそれらに類似する事項に関する適用法令の下での対象者の信用力についての評価も行っていないとのことです。JPモルガン証券は、対象者から提出された又はそれらに基づき算出された財務分析又は予測に依拠するにあたっては、それらが、当該分析や予測に関連する対象者の将来の業績や財務状況に関する経営陣の現時点での最善の見積もりと判断に基づいて合理的に作成されていることを前提としているとのことです。そして、JPモルガン証券は、かかる分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提については、何ら見解を表明するものではないとのことです。また、JPモルガン証券は、本公開買付け及び本統合最終契約に規定されている全ての取引(以下「本公開買付け等」)が本統合最終契約に規定されたとおりに実行されること、本公開買付けと本米国公開買付けが全ての重要な点において実質的に同等の条件で実施されること、並びに本統合最終契約の最終版がJPモルガン証券に提出されていたその案文といかなる重要な点においても相違しないことを前提としているとのことです。JPモルガン証券は、法務、当局による規制、税務、会計等の事項にかかる専門家ではなく、それらの点については対象者のアドバイザーの判断に依拠しているとのことです。さらに、JPモルガン証券は、本公開買付け等の実行に必要な全ての重要な政府、規制当局その他の者の同意又は許認可が、対象者又は本公開買付け等の実行により期待される利益に悪影響を与えることなく取得されることも前提としているとのことです。
    JPMフェアネス・オピニオン及びその基礎となる対象者株式の株式価値の算定結果は、必然的に、JPMフェアネス・オピニオンの日付け現在でJPモルガン証券が入手している情報及び同日現在の経済、市場その他の状況に基づいているとのことです。同日より後の事象により、JPMフェアネス・オピニオンにおける意見表明が影響を受けることがありますが、JPモルガン証券は当該算定の結果及び意見を修正、変更又は再確認する義務は負わないとのことです。
    JPMフェアネス・オピニオンは、日米公開買付けにおける対象者株式に対する買付け等の価格が、一定の前提条件の下、対象者株式の保有者(公開買付者ら及びそれらの関係者を除きます。)にとって財務的見地から公正であることについての意見を表明するにとどまり、対象者のいかなる種類の有価証券の保有者、債権者、その他の構成員にとって本公開買付けにおける本公開買付価格が公正であることについての意見を述べるものではなく、また、本公開買付け等を実行するという対象者の決定の是非について意見を述べるものではないとのことです。また、JPMフェアネス・オピニオン及びその基礎となる対象者株式の株式価値の算定結果は、対象者又は対象者の取締役会、公開買付者ら又は公開買付者らの取締役会に対し特定の買付価格について推奨するものではなく、また特定の買付価格が、唯一の適切な買付価格であることについて推奨するものでもないとのことです。さらに、JPモルガン証券は、本公開買付け等のいかなる当事者の役員、取締役若しくは従業員、又はいかなる役職につく関係者についても本公開買付け等における本公開買付価格に関連する報酬の金額又は性質に関して意見を述べるものではなく、又は当該報酬が公正であることに関して意見を述べるものではないとのことです。JPモルガン証券は、将来において取引される対象者株式の価格に関し、意見を述べるものではないとのことです。JPMフェアネス・オピニオンは、日本円で表示される額について表明するものであり、同価格に対して適用為替レートを適用し米国ドルによって表示され対象者株式の保有者に支払われる額に関して表明するものではないとのことです。
    対象者からJPモルガン証券に対して提出された対象者の事業計画及び財務予測(以下「本件財務予測等」)は、対象者の経営陣により作成されているとのことです。なお、対象者は、JPモルガン証券によるJPMフェアネス・オピニオン及びその基礎となる対象者株式の株式価値の算定に関連してJPモルガン証券に提出した本件財務予測等を、一般には公表しておらず、また、本件財務予測等は一般に公開することを目的としては作成されていないとのことです。本件財務予測等は、本質的に不確実であり、かつ対象者の経営陣が制御できない多くの変数及び前提条件(一般経済、競争条件及び現行利子率に関係する要因を含みますが、これらに限られません。)に依拠しているとのことです。そのため、実際の業績は、本件財務予測等と大幅に異なる可能性があるとのことです。
    上記のJPMフェアネス・オピニオンに記載された意見の表明並びにその基礎となる対象者株式の株式価値の算定の結果及びその算定の手法の概要は、JPモルガン証券が実施した又は参考にしたデータを全て記載したものではないとのことです。JPMフェアネス・オピニオン及びJPM算定書は複雑な過程を経て作成されており、その分析結果の一部又は要約の記載は必ずしもその分析の内容全てを正確に表すものではないとのことです。JPモルガン証券の分析結果は全体として考慮される必要があり、その分析結果を全体として考慮することなく、その一部又は要約のみを参考にした場合、JPモルガン証券の分析及び意見の基礎となる過程について必ずしも正確な理解を得ることができない可能性があるとのことです。JPモルガン証券は、その意見を表明するに当たり、各分析及び要因を総体的かつ全体的に考慮しており、特定の分析又は要因に特別な比重を置いておらず、また、個別に検討した各分析又は各要因についてそれぞれがJPモルガン証券の算定結果の根拠となったか又どの程度根拠となったかについての意見は述べていないとのことです。上記分析に際して比較対象として検討されたいかなる会社も、対象者の事業部門又は子会社と同一ではないとのことです。但し、比較対象として検討された会社は、JPモルガン証券による分析の目的上、(場合により)対象者と類似すると考えられる事業に従事する公開会社であるという理由により選択されたものとのことです。なお、JPモルガン証券による分析は、対象者との比較対象として検討された会社の財務及び事業上の特性の相違、並びにこれらの会社に影響を及ぼす可能性のあるその他の要因に関する、複雑な検討及び判断を必然的に伴っているとのことです。
    JPモルガン証券は、本非公開化取引を含む本経営統合に関する対象者のファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関であり、かかるファイナンシャル・アドバイザー兼第三者算定機関としての業務の対価として対象者から報酬を受領する予定とのことですが、当該報酬の相当部分は本非公開化取引を含む本経営統合が実行された場合にのみ発生するとのことです。さらに、対象者は、かかる業務に起因して生じ得る一定の債務についてJPモルガン証券を補償することに同意しているとのことです。JPMフェアネス・オピニオンの日付けまでの2年間において、JPモルガン証券及びその関係会社は、対象者及びソフトバンクのために商業銀行業務又は投資銀行業務を行い、JPモルガン証券及びその関係会社は通常の報酬を受領したとのことです。当該期間中、JPモルガン証券又はその関係会社は、対象者による2018年9月のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行につきジョイント・ブックランナーを、ソフトバンクによる2018年8月の金銭消費貸借契約に基づく借入れにつきリード・アレンジャー兼貸付人を、また、ソフトバンクによる2018年12月の同社普通株式のグローバル・オファリング(新規株式公開)においてジョイント・グローバル・コーディネーターを務めているとのことです。また、JPモルガン証券及びその関係会社は、自己勘定で、対象者、ZHD、及び公開買付者らのそれぞれの発行済み普通株式の1%未満を保有しているとのことです。JPモルガン証券及びその関係会社は、その通常の業務において、対象者、ZHD、NAVER又はソフトバンクが発行した債券又は株式の自己勘定取引又は顧客勘定取引を行うことがあり、したがって、JPモルガン証券及びその関係会社は随時、これらの有価証券の買持ちポジション又は売持ちポジションを保有する可能性があるとのことです。
  1. (c)
    対象者における独立した法律事務所からの助言の取得

対象者プレスリリースによれば、対象者は、公開買付者らによる本公開買付けの提案に先立ち、公開買付者ら、ZHD及び対象者から独立したリーガル・アドバイザーとして、2019年7月にアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、2019年8月にシャーマンアンドスターリング外国法事務弁護士事務所をそれぞれ選定し、これらの事務所より、本経営統合の諸手続及び対象者の意思決定の方法・過程等について、法的助言を受けたとのことです。
また、対象者は、公開買付者らから本公開買付けの提案を受けたことを踏まえ、本公開買付けの公正性を担保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所及びシャーマンアンドスターリング外国法事務弁護士事務所より、本公開買付けの諸手続及び対象者の意思決定の方法・過程等について、法的助言を受けたとのことです。
なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所及びシャーマンアンドスターリング外国法事務弁護士事務所は、公開買付者ら、ZHD及び対象者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本非公開化取引に関して記載すべき重要な利害関係を有していないとのことです。

  1. (d)
    対象者における特別委員会の設置
  1. 設置等の経緯

対象者プレスリリースによれば、対象者は、本経営統合に当たり、対象者の企業価値の向上及び一般株主の利益を図る立場から取引条件の妥当性及び手続の公正性を確保するため、2019年10月15日に、公開買付者ら、ZHD及び対象者との間で利害関係を有しておらず、東京証券取引所に独立役員として届け出ている対象者の社外取締役であり、本経営統合を検討するに当たって必要な経験・適格性を有すると判断される鳩山玲人(委員長)、國廣正及び小高功嗣の3名によって構成される特別委員会を設置し、本経営統合を検討するにあたって、特別委員会に対し、(ⅰ)本経営統合は企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理的と認められるか、(ⅱ)本経営統合に係る手続の公正性が確保されているか、(ⅲ)本経営統合の条件の妥当性は確保されているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)を踏まえ、本経営統合が対象者の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるかについて諮問したとのことです。
また、対象者は、公開買付者らより本公開買付けの提案を受けたことを契機として、本公開買付けを含む本非公開化取引が実施される場合には、将来的に、対象者において東京証券取引所の有価証券上場規程に定められる支配株主との取引等に該当することとなることに鑑み、特別委員会への諮問を継続するとともに、2019年11月18日開催の取締役会において、特別委員会に対する諮問事項を、(ⅰ)本公開買付けを含む本経営統合は企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理的と認められるか、(ⅱ)本公開買付けを含む本経営統合に係る手続の公正性が確保されているか、(ⅲ)本公開買付けを含む本非公開化取引の条件(本公開買付けの公開買付価格を含む。)の妥当性は確保されているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)を踏まえ、本経営統合が対象者の少数株主にとって不利益なものでないと考えられるか、(ⅴ)対象者取締役会が本公開買付けを含む日米公開買付けに賛同意見を表明し、対象者の株主に対して本公開買付けを含む日米公開買付けへの応募を推奨することは相当と考えられるか、に変更するとともに、本公開買付けを含む本経営統合に関する意思決定について、特別委員会の判断内容を適切に理解・把握した上で、これを最大限尊重して行う旨、並びに特別委員会が本公開買付け及び本非公開化取引の取引条件を妥当でないと判断した場合には本公開買付けを含む本経営統合に賛同しないこととする旨を決議したとのことです。
なお、特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うものとされております。

  1. 検討の経緯

特別委員会は、2019年10月15日より同年12月23日までの間に合計18回、合計約28時間にわたって開催されたほか、各会日間においても電子メールを通じて、報告・情報共有、審議及び意思決定等を行うなどして、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行ったとのことです。
具体的には、特別委員会は、まず、特別委員会のリーガル・アドバイザーとして中村・角田・松本法律事務所及びホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所/ホワイト&ケース法律事務所(外国法共同事業)を、当該アドバイザーから報告された内容に基づきそれぞれの独立性及び経験の豊かさを確認した上で選任したとのことです。また、複数の候補者に対してインタビューを実施し、本経営統合に関与する他の当事者に対する本経営統合以外の案件に関するサービスの提供等の事実を記載したディスクロージャーレターの提出を受ける等して比較検討し、最終的に、メリルリンチ日本証券について、同社から報告を受けた本経営統合に関与する他の当事者に対する本経営統合以外の案件に関して提供されるサービスの性質、メリルリンチ日本証券の経験の豊かさ及びレピュテーション等を総合的に勘案して、当該サービスを提供していることが本経営統合に関して特別委員会に対して独立したアドバイスを行うこと等を妨げるものではないと判断し、特別委員会の専属ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてメリルリンチ日本証券を選任したとのことです。
また、特別委員会は、対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所及びシャーマンアンドスターリング外国法事務弁護士事務所について、それぞれの独立性及び経験の豊かさを、当該アドバイザーから報告された内容に基づき確認するとともに、対象者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるJPモルガン証券について、当該アドバイザーから報告された内容に基づきその独立性及び経験の豊かさを確認したとのことです。
さらに、本非公開化取引に係る対象者の社内の検討体制について、利害関係を有する取締役の範囲についての対象者執行陣及び対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所に対して説明を求めたとのことです。それに対するアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの回答を、特別委員会のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所の助言を踏まえて検証し、対象者の社内の検討体制に公正性の観点からみて問題がないかを慎重に検討したとのことです。
その上で、対象者執行陣から対象者のスタンド・アローンベースの(本経営統合による影響を加味していない)事業計画(以下「本事業計画」)の作成経緯・目的、内容、重要な前提条件等について説明を受けるとともに、本経営統合の統合効果等についても説明を受け、質疑応答を行ったとのことです。
また、メリルリンチ日本証券、中村・角田・松本法律事務所及びホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所/ホワイト&ケース法律事務所(外国法共同事業)からの助言等を受けつつ、公開買付者らから、本経営統合に関し説明を受けたとのことです。これに対し、委員から、本経営統合完了後の対象者及び統合会社(本経営統合後の統合会社であるZHDをいいます。以下同じです。)の経営・ガバナンス方針、本事業計画についての評価、本経営統合の統合効果、NAVERグループ・ソフトバンクグループで期待されるシナジー、公開買付者らから提案された本公開買付けの公開買付価格、本公開買付け及び本公開買付け後の本非公開化取引の手続の想定等について各種質問を行い、これに対して回答を受けたとのことです。また、メリルリンチ日本証券の助言等を受けつつ、本経営統合の相手方であるZHDから説明を受けたとのことです。これに対し、委員から、本経営統合に関し、本経営統合完了後の対象者及び統合会社の経営・ガバナンス方針、本事業計画についての評価、本経営統合の統合効果等について各種質問を行い、これに対してZHDから回答を受けたとのことです。
その上で、メリルリンチ日本証券から、後記「(e)特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」のとおり、一定の条件の下で、2019年12月23日付けで、メリルリンチ算定書を取得し対象者の株式価値の算定方法、当該算定方法を選択した理由、市場株価分析及びDCF分析による算定の結果並びに最近の日米両市場での類似事例におけるプレミアムの水準等その内容及び前提条件等について説明を受け、その内容を審議し、質疑応答を行ったとのことです。また、後記「(e)特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」のとおり、メリルリンチ日本証券から、一定の条件下で、2019年12月23日付けで、本公開買付けにおける対象者普通株式等に係る買付価格が、一定の前提条件の下、対象者普通株式等の保有者(公開買付者ら及びその関係会社を除きます。)にとって財務的見地から公正である旨のメリルリンチ・フェアネス・オピニオンを取得し、その内容や前提条件等について説明を受け、その内容を審議し、質疑応答を行ったとのことです。
2019年11月18日に公開買付者らより最初の価格提案が含まれた意向表明書を受領し、かつ、公開買付者らから、直接公開買付価格についての考え方の説明を受けたとのことです。特別委員会は、これらの説明をもとに、メリルリンチ日本証券から受けた財務的見地からの助言を踏まえてその内容を審議・検討した上で、対象者執行陣に対し、対象者のスタンド・アローンの株式価値及び類似事例のプレミアムを踏まえ、公開買付者らに対して公開買付価格の引上げを求めるよう要請したとのことです。また、特別委員会は、当該要請を関係者に明確に伝達する目的で、3度に亘って公開買付者らとの交渉の場への出席を自ら要請し、意見表明を行う機会を得て、特別委員会としての意見を表明したとのことです。
対象者が当事者となる本統合最終契約及び本資本提携契約について、対象者執行陣及び対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所より、その概要の説明を受け、質疑応答を行ったとのことです。
また、対象者及びZHDの2019年11月18日付け「経営統合に関する基本合意書の締結について」と題するプレスリリース、ソフトバンク及びNAVERの同日付け「Zホールディングス株式会社(証券コード4689)とLINE株式会社(証券コード3938)の経営統合に関する基本合意書の締結及び、LINE株式会社株式等に対する共同公開買付けに係る意向表明書提出のお知らせ」と題するプレスリリース、対象者の2019年12月23日付け「ソフトバンク株式会社及び支配株主であるNAVER Corporationによる当社株式等に対する共同公開買付けの開始予定に関する意見表明のお知らせ」と題するプレスリリースの第17回特別委員会開催時点でのドラフト(以下総称して「本開示書類ドラフト等」)について、特別委員会のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所及びホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所/ホワイト&ケース法律事務所(外国法共同事業)の助言等を受けつつ、本開示書類ドラフト等で予定されている情報開示の内容について対象者執行陣及び対象者のリーガル・アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所に説明を求め、これに対する説明を受け、質疑応答を行ったとのことです。
上記の手続等を踏まえ、特別委員会のリーガル・アドバイザーである中村・角田・松本法律事務所及びホワイト&ケース外国法事務弁護士事務所/ホワイト&ケース法律事務所(外国法共同事業)の助言等を受けつつ、本答申書のドラフトについて複数回にわたり審議したとのことです。